慰安婦像問題に関するオーストラリア ジャパン コミュニティ ネットワーク(AJCN)からのご報告


1.ストラスフィールド市慰安婦像設置問題、事態は膠着状態から流動し始めた。

 昨年4月1日のストラスフィールド市のタウンホールで開かれた慰安婦像設置問題に関する公聴会で、州政府、連邦政府の意見を聴いて判断する、それまで決定を保留するとの判断が下されました。この日に反日中韓団体から出された署名と請願書に対し、AJCN(Australia - Japan Community Network) も反対の意志を示すべく、署名活動を5月初旬からスタート。
日本人だけでなく在豪の白人、アジア人、韓国人、中国人など人種の枠を超えて3,408名の手書き署名を集め、6月7日に市側に提出しました。
 その後 AJCNはトニー・アボット首相はじめ7名の連邦政府、州政府の要人宛てに、慰安婦像問題の根深さを知らせるとともに、日豪友好のため善処してもらいたいとの手紙を送付したり、市議会議員と定期的に面談するなど地道な活動を進めてきました。

 膠着状態は11月まで続きましたが、12月はじめに韓人会会長が業を煮やして、慰安婦像設置再推進をぶちあげ、9月に新たに市長に就任したジュリアン・バカリ市長に早く具体化するよう圧力をかけはじめたことにより破れ始めました。ちなみにバカリ市長は慰安婦像設置を言い出した韓国系サン・オク議員(元副市長)と同じ保守系のLiberal所属。どちらかといえば、中韓に同情的で、中間的な解決策を模索すると公言しています。
Liberal 3名、Labor 2名、無所属(Independent) 2名の構成で、市長がキャスティングボートを持つため、我々反対派にとっては票数では不利な状況になっています。Liberalでも連邦政府レベルは日豪との友好を優先、ストラスフィールド市レベルは中韓の政治力に配慮せざるを得ないということで、慰安婦像問題についてはねじれた関係になっています。(トニー・アボット首相は昨年5月訪日時、朝日新聞のインタビューの中で慰安婦は過去の問題と切り捨てています。)


2.予断許さぬ状況へ

 3月3日のストラスフィールド市議会で、既に1年がたつ慰安婦像設置問題に決着をつけるべきとの発議が慰安婦像反対派無所属議員から出されましたが、市長はじめとするLiberal所属議員3名と無所属議員1名の反対で否決されました。否決に回った4名はワークショップを開き、もう少し時間をかけて検討することが必要との意見ですが、バカリ市長が目指す双方にとって良い着地点を探すことは不可能であり、市議会の苦悩が見て取れます。
連邦政府、州政府要人の意見は全て市に返っており、今までの賛成・反対の署名、各界からの意見の手紙などを分析したレポートも2014年中にまとめられていますが、中韓の政治力に配慮して、依然として迷っていることが明らかです。

 しかし4月中に投票で決着といううわさもあり、日本人にとって予断を許さない切迫した状況になりつつあります。市議会が公開性になった場合は、シドニーの日本人の皆様にはぜひストラスフィールド市に来ていただき、おとなしい日本人も意思表示を行うことができることを示していただきたいと思います。AJCNからの召集についてはCheersや日豪プレスなどのメディアばかりではなく、シドニーの人的ネットワークを通じてもお知らせいたします。



(お知らせ)
AJCNは2月25日付でJCN(Japan Community Network)からAustralia - Japan Community Network(AJCN)に組織名を変更しました。JCNは、日系人のみならず、良識ある豪州人や欧米人を交えた混成チームであり、幅広くコミュニティの融和を訴える市民団体で、日系人だけの視点では活動していません。そのことを正しく反映するために、Australia - Japan Community Network に改名することといたしました。